世界の高齢者


英国の百寿者
長生きほど老い支度不可欠
 100歳を超えた高齢者を百寿者という。厚生労働省が敬老の日を前にして発表する百寿者は、昨年が47,756人、今年は5万人を超えると考えられている。おおよそ、100年前に生まれた女性の50人、男性の250人に1人が百寿者という計算になる。さらに2050年には、70万人に達すると推計されている。
 慶応大学医学部老年内科は、長年、百寿者研究に携わっている。現在は超百寿者調査(105歳以上が対象)、長寿同胞調査(90歳以上の兄弟・姉妹)、長寿家族調査(100歳以上の直系と非直系を含む家族)を行い、欧米の研究者と共同して、長寿遺伝子、抗老化物質などの解析を進めている。
 英国には、そのまま百寿者(The Centenarian)と銘打ったウエブサイトがあり、健康長寿のための情報が満載されている。それを元に百寿者像を整理してみると、背丈があり、痩せ型、糖尿病、心疾患を患っていることは稀で、認知症の兆候が92歳まではなかった人ということになる。
その他の特徴として、40歳を過ぎても出産をしている。長寿の親族が1人はいる。病気知らずの、70、80歳代の子どもがいる。ストレス管理が上手で、信心深いことなどがあげられる。また122歳164日生きた世界最長寿者の生活ぶりも、紹介されている。
 百寿者になるための心構え、覚悟まで、記述されていることには驚かされる。人より長生きをするために、友人、兄弟、子どもに先に死なれてしまう。その悲しみに耐えなければならない。若い時のように身体を動かすことはできず、衰えていくことを否が応でも知らされ、鏡を見るたびに老いを意識させられる。それ故、穏やかに死を迎えたいという気持ちが強くなる。
 長生きをすればするほど、老い支度が不可欠となる。
日刊工業新聞 2012年1月27日

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