日本の高齢者


健康長寿マイスターに学ぶ
まずはスマイル楽観主義で
 105歳、福岡市最長寿男性である曻地(しょうち)三郎さんの話を聞いた。長男と次男がともに脳性小児麻痺だったこともあり、1954年、日本初の障害児のための養護施設「しいのみ学園」を自費で設立、現在も園長を務める。また一人当たりの老人医療費が日本一である福岡県からは健康長寿マイスターに任命されており、講演活動に忙しい。
 健康長寿の秘訣は、「サブちゃんの十大習慣健康法」として、以下のようにまとめられている。①まずはスマイル楽観主義で!②冷水摩擦で今日も元気に!③棒体操で体のバランスを整える④新聞・雑誌は知の宝庫、フル活用して脳の若返り⑤祈りが人生を前向きに⑥足腰よりも脳を鍛えよ。語学は最高の健康法⑦日記が頭脳の若さを保つ⑧噛めば噛むほど脳が冴える!長生きできる!⑨口八丁手八丁足八丁計二十四丁で脳イキイキ⑩上を向いて寝よう。
 「長生きをすれば、良いことがある」と語る曻地さんの好奇心は尋常でない。そしてユーモアの心を忘れない。95歳からロシア語を学び、講演できるまでになったという。きっかけは、妻と3人の子どもを見送り、初めて自分だけの時間を持てるようになったからだ。数え100歳を期して世界一周講演旅行をはじめ、毎年行っている。今年は9月に蜂窩織炎(ほうかしきえん)となり、40度の高熱が続き入院までしている。しかし、1週間ほどで完治したので、11月7日から25日にかけて、デリー、ミューヘン、ブタペスト、フランクフルト、ヒューストン、ニューヨーク、ラスベガス、ロサンゼルスを周る予定だ。世界の老年学者は、「頭全体をフル活動している」と曻地さんの健康ぶりに驚きをかくさない。
 聖路加国際病院の日野原重明先生が10月4日100歳の誕生日を迎え、テレビでは特別番組まで放映されたが、その日野原さんがお手本にしているのが、曻地さんだという。
日刊工業新聞 2011年10月21日

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