日本の高齢者
介護保険で家族の負担軽減 心のケア、地域ネット充実を |
介護保険制度が導入、介護の社会化が図られて10年を超えた。虚弱高齢者を家庭だけではなく、地域で支える体制ができた。現在では、500万人弱が利用、高齢施設での受給者は約100万人である。また約140万人がヘルパーによる訪問介護を受け、約190万人が通所サービスを利用している。 日本人の伝統的な家族観では、長男の嫁が年老いた親を看ると考えられてきたが、核家族化が進行、近年の国民生活基礎調査によると、介護者の内訳は、配偶者が25%、子が18%、子の配偶者が14%となる。また男性の介護者が28%を占めている。介護保険によって、家族の平均介護時間は0.8時間/日減少している。もちろん、これだけの負担軽減では十分とはいえないが、ムラ社会の価値観が根強い農村部でも、ショートステイ、デイケアなどのサービスが普及している。 さらに介護者の支援をより充実させることが、待ち望まれている。その1つが、介護者の心のケア対策、専門家によるカウンセリングが必要に応じて受けられるようにしたい。また、地域でのネットワークつくりも大切だ。介護の悩みや不安を安心して話し、情報を交換する場、介護者会ができると心強い。 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた市町村は、65歳以上人口の割合である高齢化率の高いところだ。例えば、釜石市 34.7%、陸前高田市 34.0%、気仙沼市 30.8%、大槌町 31.8%である。これは、2030年の日本の姿だという。被災地が、安心して暮らせる“超高齢社会”として復興をしてくれることを願っている。 |
日刊工業新聞 2011年9月23日 |