胃ろうの増設と管理について

【胃ろうの造設と管理】

 胃ろうとは口から食事が摂れない状態の方が栄養を補給するひとつの方法です。
内視鏡を使っておなかから胃に通じる小さな穴を開け、ここにカテーテルを通して胃に直接栄養を入れるための「小さな口」を造ります。
胃瘻造設術は歯を抜くときと同じ局所麻酔で行い、約15~20分程度で終わります。
カテーテルは直径7mm程度のやわらかいもので手術後の痛みもほとんどありません。
合併症は出血や腹腔内臓器の損傷などがありますが、頻度は少ないです。
胃瘻造設後の日常生活に制限は特にありません。
直接胃にカテーテルが入っているため服を着ていると普通の人とかわりません。
食事の制限もなく食べられます。食事を食べる練習もしやすくなります。(もとの病気が治るわけではありません。)
在宅介護はむしろしやすくなります。
注入する栄養剤もニーズにあわせて選べます。
入浴はシャワーはもちろん、そのままバスタブにつかってもおなかに水がはいることはありません。
リハビリもボタン型のカテーテルにすればひっかかることもなく胃瘻が取れる心配もなくどんどんできます。

 次に胃瘻の管理ですが、基本的には胃瘻周囲を清潔に保つことです。
胃瘻周囲についた粘液や皮膚の汚れは毎日洗ったり濡れタオルでふきとったりします。
胃瘻からの液漏れがなければガーゼ等をあてる必要はありません。
少し液漏れがある場合はティッシュをこより状に巻きつけて下さい。
もし、栄養剤の漏れがある場合は注入速度をゆっくりしてみましょう。
それでも、栄養剤がもれたり胃瘻周囲が赤くなったり、出血したりする場合は看護師や医師に相談してください。
栄養剤を注入する場合は胃瘻が抜けかけていないか、カテーテルを軽く押したり引いたり回転させたりして確認してください。
栄養剤を注入する場合は30度位上体をおこし1時間位かけて注入してください。
栄養剤の注入中に嘔吐したりむせたりした場合は栄養剤の注入をやめて様子をみて落ち着いてからゆっくり注入してください。

栄養剤や薬を注入した後は必ず注射器で30~40ccの水でカテーテル内を洗い流してください。(カテーテルが詰まってしまいます)

水で洗い流した後に、酢水の充填や専用のクリーニングブラシを使うとカテーテル内がきれいに保てます。

カテーテルが抜けたり詰まったりした場合はすぐに看護師や医師に相談してください。
最後に口から食事をしていない患者さんも歯みがきをして口の中は清潔に保ちましょう。
胃瘻の管理は決してむずかしくありません。ご家族の方が安心して管理できます。

 

【胃ろう交換】

 胃ろうチューブにはボタン型とチューブ型があり、それぞれにバルーン型、バンパー型があります。(色々な会社から出ていますが基本はこの4パターンしかありません。)
高齢の方を介護される場合はチューブ型、ご本人が無意識に引っ張ってしまう方はボタン型が基本になります。
胃ろうは胃酸にさらされるために定期的な交換が必要になります。
バルーン型は1~2ヶ月ごと、バンパー型は4~6ヶ月ごとの交換が必要になります。