摂食・えん下障害とは…?

“食べる”こと、すなわち摂食・えん下は、生態の恒常性を維持する上で最も重要な要素のひとつであると同時に、人間の最も基本的な欲求のひとつである。そのため、その障害が疑われる場合は、原因を検索し、適切な対処を行うことが必要となる。 摂食・えん下障害の原因が除去可能なものであれば、まずその原因の除去を行う(原因疾患の治療など)。

摂食・えん下の流れ
 摂食とは口から食べ物を摂取する行動、えん下とは食べ物を口から飲み込んで、胃の中まで送る一連の運動であり、“食物の認知” を行う先行期、“咀嚼” を行う準備期、その後の “飲み込み” を行う口腔期、咽頭期、食道期につながる一連の流れ( 図1 )によって成立する。
摂食・えん下障害ではこれら一連の過程の一部あるいは複数の過程が障害される。

図1 摂食・えん下の流れと摂食・えん下障害

食物を認知する

食物の認知ができない : 認知症、視力障害 など
             ( 先行期の障害 )

咀嚼を行う

咀嚼ができない : 多数歯の欠如、義歯の不適合、口腔周囲筋の麻痺、舌萎縮 など
             ( 準備期の障害 )

飲み込みを行う

飲み込みができない : えん下反射の消失、通過障害、咽頭の可動域の減少 など
             ( 口腔期・咽頭期・食道期の障害 )

 その他、食欲の低下(うつ病、うつ状態など)、食事動作に関連する上肢・体幹機能の低下などが、食事量の低下につながる場合がある。

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