世界の高齢者


高齢化社会、天寿を全う
感謝の気持ちで死者を見送る
 この季節になると、わが国が長寿社会に突入していることを意識させられる。友人、知人から届く喪中葉書を読むと、90歳を超えている親を亡くしている人がめずらしくない。
 2010年の平均寿命は、男性79.64歳、女性86.39歳で、前年と比較して男は0.05歳上回り、女は0.05歳下回った。その結果、平均寿命の男女差は前年より0.10歳縮小して、6.75歳となった。男性の86.9%が65歳まで生き、その割合は90歳で22.0%、95歳で8.0%になる。女性では93.6%が65歳まで生き、46.1%が90歳、23.0%が95歳まで生きる時代となった。さらに、がん、心臓病、脳卒中など循環器疾患が克服されると、平均寿命は、男性で7.81歳、女性で6.78歳延びるという。
 死因を年代別に見ると、40歳代からは年齢が上昇するにしたがって、がんの占める割合が高くなり、男性では60歳代、女性では50歳代でピークを迎える。それ以降は男女とも循環器疾患、肺炎の占める割合が、年齢とともに高くなる。男性では90歳代で肺炎がトップを占める。女性では85歳以上100歳未満で心臓病、100歳以上では男女ともに老衰が最も多くなっている。天寿を全うする人が増えている。世界一といわれる長寿国の実情である。
 さて先月、イギリスから郵便物が届いた。クリスマスカードとしては少し早いと思いつつ開封したところ、十数年前から取材で大変お世話になっているPR会社のオーナーの葬儀の案内だった。着飾った彼女の姿と「celebration of her life」という語句を見ると、感謝の気持ちを大切に笑顔で死者を見送ることができるように思えた。
高齢社会の進展とともに、天寿を全うする人が増え続ける。このイギリス流の見送りが、ますます意味あるものになると思っている。
日刊工業新聞 2012年12月9日日

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